「たたみ」ってどーなってるの?
イグサってなあに?
イグサは、古くから日本全土に生えている植物のひとつ。原産地はインドで、シルクロードから朝鮮半島に伝わったといわれています。
別名は「トウシンソウ」といって、茎の中の芯は油をよく吸い上げる性質を持つため、電気のない時代に行灯(あんどん)やろうそくの灯芯(とうしん)として広く使われました。
また、江戸時代には様々な効果がある薬草としても重宝されていました。
今では、国産の約90%のイグサが熊本県でつくられています。

イグサが呼吸するから気持ちいい!
イグサは1本1本の中身がスポンジ状になっています。この部分が畳ならではの柔らかさや、様々な機能を持たせることにつながっています。
使い続けた畳を入れ替えるのは、このスポンジ部分がつぶれてきて機能が落ちてしまうからなのです。

イグサの断面

イグサの繊維
畳1枚のイグサの量と質について
畳1枚に使われるイグサは、約4,000~7,000本。高級品ほどイグサの本数が多く、厚くて耐久性があります。
イグサの長さは、約100~150㎝で、長ければ長いほど、色も太さもそろった部分を使用できるので、グレードが高くなります。
長さ別に仕分けたイグサを1本ずつ使い、畳の表は織り上げられていきます。
イグサのグレード

写真の右から順に
- 下級品用(97㎝以上)
- 中級品用(110㎝以上)
- 上級品用(120㎝以上)
- 上級品用(130㎝以上)
- 最上級品用(140㎝以上)
になります。
畳の選び方
畳のサイズ

「京間」と「江戸間」の8畳間の比較

「京間」と「江戸間」 の1畳のサイズ
本間(ほんけん)サイズ=関西間(京間)
1畳あたりの大きさ
約191cm(長さ) × 約95.5cm(幅)
五八 (ごはち)サイズ=関東間(江戸間)
1畳あたりの大きさ
約176cm (長さ) × 約88cm(幅)
畳の構造

畳表
主にイグサの部分です。イグサ以外の新素材もあります。
畳縁(たたみべり)
畳表の角を保護をする役割があります
床(とこ)
建材床・・・現在主流の建材床
茶色(インシュレーションボード)
青色(断熱材)

主流 の藁床
藁床・・・稲わらが原料(従来はこれが主流)
畳の交換時期の目安

新畳替え
部屋の寸法の採寸して新しく製作します。
※古い畳の処分が発生します。


表替え
(5年~10年)
畳のゴザ(表面)を新しくして畳床はそのまま利用します。
※畳の状況や状態によってはできない場合があります。
裏返し
(畳替えをしてから3~5年以内)
今の畳のゴザ(表面)を裏返してます。
※お部屋の状況・畳の状態によってできない場合があります。


正常な畳表

交換が必要な畳表
畳の機能
天然のエアコン機能

イグサのスポンジ構造のおかげで室内の湿気を吸い取ります。乾燥すると逆に湿気を放出して室内環境を保ちます。たたみの部屋に入ると涼しく感じるのはその影響が関係しています。
天然の空気清浄機能

たたみ自身が呼吸するので空気も吸ってきれいな空気を戻します。ダイオキシンやホルムアルデヒドなども分解することが研究で分かっております。
断熱機能・清音機能抜群!

一般的な畳は厚み約5センチあります。その厚みや材質のおかげで熱を通しにくい構造になっており、保温機能も非常に優れているので室内の暖房効果を持続する働きがあります。また、吸音もするので、音が響きにくいのもうれしい特徴です。
畳がもたらす効果
畳の香り

畳の香りには森林浴効果があり、こころを落ち着かせる効果があります。鎮静効果ともいい、勉強や読書など集中しやすい環境になります。畳替えをした際、本当に喜んでもらえる畳の良い効果です。
イグサの殺菌力

イグサは薬草に使用されていたこともあるため、体に良いだけでなく、細菌をやっつける力もあります。足の臭いの原因となる菌などをイグサがやっつけ、消臭効果があります。フローリングが増えた現代では、畳が見直しされる要因の一つとなりました。
あかちゃんの成長に活躍
赤ちゃんがハイハイするとき、畳の表面のでこぼこ(波状)が脳に良い刺激なるといわれています。また畳が柔らかいので、つかまり立ちの時期などしりもちをついてもあまり痛くないので、赤ちゃんの成長には和室は適していると言えます。

畳のお手入れ
基本は雑巾で畳の目に沿って乾拭きです。つやが出てきて、キレイに輝いてきます。毎回雑巾でしんどい方は、掃除機や座敷箒で掃き出ししてください。
①絨毯などの敷物はNGです。空気を塞ぎ、カビやダニの原因となります。
②畳の部屋を閉め切ったままにせず窓を開けたり、部屋を使ってください。空気が循環します。
③直射日光は畳の消耗を加速させます。障子やレースのカーテンを使って遮ってください。

乾拭き

座敷箒で目に沿って掃く
こんなときはどうしたら??
白い点々?カビが生えた?
天然のイグサは収穫してから、染土と呼ばれる泥水で泥パックをします。その後、乾燥させて保管します。イグサのあの香りは実はこの染土からできています。
次に織機と呼ばれる機械で、畳表が織られます。そして、私たち畳屋の元に運ばれてくるまで、丁寧に湿度の少ない環境で保存されます。
泥の中にはミネラル成分がたくさん入っていますが、実はカビの栄養源でもあります。
【発生条件 】
気温20° ~30° 湿度70%以上 埃などの栄養分
【対処方法】
乾拭きをして換気をよく、ご使用ください。
不安な方はさらに消毒用アルコールで拭き取ってください。(すぐ揮発します)

当社では納品までにカビの発生を緩和する処置をしております。
一般的には納品後はお客様で新しい畳の拭き上げをしてもらうことが多いようですが、当社ではその手間をブラッシングをして、水拭きを行い染土を落とし、防カビ剤を施して納品させていただきます。また納品時にお手入れのご説明をしっかりさせて頂きます。

泥染めの泥をブラッシングで落とします。

たたみ工房たなかの防カビ剤の散布作業
※カビ止め剤は100%カビを防止するためのものではありません。湿度が多い梅雨・秋雨など喚起をして、空気が淀まないようにお使いください。

防カビ剤の効果(左:あり、右:なし)
液体をこぼした。

こぼしてしまった!

①まず液体をからぶき雑巾などで吸い取る。

②水にタオルを濡らす

③甘めにしぼった雑巾で付近の液体を薄めるように拭く。(数回繰り返して、水気を吹き上げる。)

④乾拭きする。

⑤風をあてたりして、よく乾燥させる。
畳がへこんだ
程度にもよりますが、ご家庭でも直すことができます。
なお、へこませたくない方は木材など当てて置くとへこみにくいです。
修復方法
①水に濡らした雑巾をへこんだ場所に2~3分置く。(イグサに水分を吸わせる)
②スチームアイロンで、雑巾の上から温める。(焦げたりしない様に加減してください)
③ ②を数回繰り返して膨らんできたら、よく乾燥させる。